「ふくしかいごってどんな仕事?」
2023年12月10日、広島駅の南口地下広場で、福祉・介護職の魅力発信イベント
「介コレ~カイゴギャップコレクション~」が開催されました。
広島県内で働く若手介護職員が企画・運営した本イベントで、イベントの総合司会を担当したありなさんと、施設の利用者さんと共にイベントステージ「2人のメモリアルランウェイ♡」へ出演しためいさんに、お話を聞きました。
社会福祉法人 和楽会
特別養護老人ホーム 和楽荘
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ありなさん
介護職3年目/「介コレ」のイベントMCを担当
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めいさん
介護職2年目/介コレ内のファッションショー企画に利用者とペアで参加
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リヨさん
98歳/ご利用者の方
きらきら輝く利用者さんや同僚たちを知ってほしい
ー「介コレ」に参加すると決まって、どうでした?
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めいさん
リヨさんは私が担当させていただいていて、基本車いす移動で生活されている方でした。ただ好奇心旺盛というか、気持ちがとても前向きな方で、自分の部屋のまわりを散歩されたり、自発的に練習されていました。それでイベントの2カ月ほど前にリヨさんに「私と一緒にランウェイを歩きませんか?」とお誘いしたら「出たい」と言っていただきました。
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ありなさん
私は、自分の性格的にちょっと心配症なところがあるので…。
最初、リヨさんがイベントに参加してもいいのかな?大丈夫かな?と実は思っていました。
めいさん
リヨさんは部屋のカレンダーに、イベントが開催される日に〇印を付けて、心待ちにされているような感じでしたね。日に日に、歩かれる距離も伸びていってました。
ありなさん
あまり近くで見られているのはお好きではない感じだったよね?
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めいさん
そうですね。「大丈夫?大丈夫?」って付きっきりで言われるのが嫌そうだったので、ちょっと離れたところから歩く練習を職員で見守るって感じでしたね。
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ありなさん
イベントの時には素敵な赤いカーディガンを着られていたよね!
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めいさん
そうそう!ご家族にお聞きしたら、「前に編んだ赤いカーディガンがあるから持ってきて」と頼まれたそうで、12月のイベントなので赤い色がサンタクロースみたいでぴったり!とリヨさんが服を用意されたんです。
ありなさん
イベントにはリヨさんのご家族、同僚も見に来てくれて、とっても盛り上がりましたよね。リヨさん、ふらつきもなくしっかりとランウェイを歩かれて「楽しかった!」といい笑顔だったよね。
めいさん
そう、私も一緒に歩けてとっても楽しかったし嬉しかったです!イベント前日は職員の方が緊張してたんだけど…、リヨさんは「明日になってみんとわからんよ。できることをやればいいんよ」と肝が据わってましたね(笑)。さすがだなって。
誰かの「青春(アオハル)」を支える仕事
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ありなさん
私たちの仕事は、病気や障害、また年をとったことで、出来なくなったことのお手伝いをして、その人の暮らしを支える仕事です。具体的にいうと、食事や入浴の介助とか、日常生活のお手伝いがあるけど、それだけじゃないよね?
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めいさん
はい、生活のサポートを通じて、ひとりひとりと向き合うというか…。特別養護老人ホームは利用者さんにとってはメインの生活の場なので、沢山の時間を職員と一緒に過ごします。だから、利用者さんにとって嬉しいことも、悲しいことも、一緒に経験します。特に、何かが「できた!」っていう瞬間を直に感じられることは、私のやりがいに繋がってます。イベントでも、リヨさんやご家族の笑顔をすぐそばで見ることが出来て、これまでの不安とか吹き飛んじゃいました。「やってよかったな」って。
ありなさん
ランウェイの本番、リヨさんもいきいきしてたよね。
めいさん
やっぱり、自分のやりたいことをやっている時は、利用者さんがキラキラしてて、こっちまで嬉しいんです。歳をとっても、自分らしくやりたいことができるって、大切なんだと思います。
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ありなさん
お一人おひとりの「こんな風に生きたい」という意思を大切に、その方が気持ちよく暮らせるように、寄り添えたらと思います。
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めいさん
和楽荘のリヨさんのお部屋には、昔旅行に行った時の写真や、ご自分で書かれた日本画が飾られていて、「これは○○を見に行った時にね…」と思い出とともにお話してくれます。リヨさんはお花や鳥のことにも詳しくて、お部屋に行ったときやごはんの時、よくその話になりますね。
ありなさん
「この人はどんな人なんだろう?どんな人生を送ってきたんだろう?」と興味をもって接することは大切だよね。リヨさんが私に、「人生楽しんでなんぼよ!若いうちにいろいろ経験したらいいよ」と言ってくださったことがあって。リヨさんはいつも前向きなので、お話するとこっちが元気を貰えるんです。
支える過程は大変!だけど楽しい
めいさん
最初は利用者さんとのコミュニケーションが難しいときもありました。食事の時間に「ご飯食べませんか」と声をかけても「今じゃない!」って断られたり…(笑)でも、ご本人の気持ちが変わるタイミングを見極めて、めげずに声をかけたらうまくいくな、とわかってきた感じです。あとは夜勤もあるので、慣れないときはしんどかったですね。
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ありなさん
私が特につらかったのは、大好きな利用者さんを看取ったときでした。私は結構、感情に振り回されるタイプなので、「毎日会っていたのに」って悲しくて、それで体調崩してしまった時がありました。そんな時、他の利用者さんから「私の部屋に来るときは無理せんでいいよ、休んでゆっくりしといで」と言ってもらいました。利用者様のご家族にお会いした時も泣いてしまったんですけど、「こんなに泣いてくれる人がいて、おじいちゃんは嬉しいと思います。ありがとう」と言ってくださって、すごく救われました。落ち込む時もあるんですけど、利用者さんやご家族の言葉で立ち直れた経験もたくさんあります。
めいさん
そういえば、ありなさんは学生時代からご活躍でしたよね。実はあこがれてたんですよ!(お二人は同じ専門学校出身の先輩・後輩)
ありなさん
憧れなんて、恥ずかしい(笑)学生時代から楽しいことが好きで、学友会の会長になって、体育祭や学祭などを企画してました。今回のランウェイが開催されたイベント「介コレ」にも企画から関わって、当日は司会もしたんですけど、準備期間には紹介ビデオを制作したり、他ユニットからも応援のメッセージを貰ったり、施設全体で盛り上がってたんです。まさに文化祭前みたいで、青春感がありました(笑)
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めいさん
今も、和楽荘でカラオケ大会とか企画されてますよね!
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ありなさん
そうそう(笑)大がかりなものじゃなくても、普段のおやつの時間にカラオケ機材を持ってきて、「カラオケ喫茶」にしてみたり。
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めいさん
私たちのユニットの利用者さんも混ぜてもらったりして、楽しかったです。
ありなさん
社会人になってから、イベントとかがあまりなくて、淡々と日々が過ぎていってしまう気がして、ちょっと寂しくて。「それって多分、利用者さんも一緒だよね」と思ったのがきっかけでした。日常の中にイベントをつくると、その日までは「明日はカラオケ喫茶じゃね」って楽しみにできるし、終わった後も、「昨日は楽しかったね」って思い出になるし。その方が、職員も利用者さんもワクワクしますよね。